
一人暮らしを始めて半年くらい経った頃だった。
アパートの隣の部屋に住んでいる女の人が、妙に愛想よかった。
会うたびに、
「お仕事お疲れさまです」
「帰り遅いですね」
「今日は雨でしたね」
って話しかけてくる。
ただ少し気になったのは、たまに妙に細かいことを知っていることだった。
「今日はコンビニ行かれました?」
とか、
「昨日は帰るの遅かったですね」
とか。
まあ壁薄いし、偶然かなと思っていた。
ある日、その人に聞いてみた。
「結構会いますよね。仕事の時間まで分かるんですか?」
すると笑いながら言った。
「だって毎日見てますから」
冗談やろと思って笑った。
その夜、なんとなく気味悪くなって、部屋のカーテンを閉めようと窓に近づいた。
窓の鍵の横に、小さな文字が彫られていた。
「いつも見てるよ」
その字は外側じゃなくて、
内側に彫ってあった。
















