
高校時代、ショッピングモールで清掃バイトをしていた。
閉店後の館内は妙に静かで不気味だった。
ある日、終業間際に館内放送が流れた。
「お客様にお知らせします」
いつもの閉店アナウンスだ。
だがその後の内容が違った。
「まだ1名お帰りになられていないお客様がいらっしゃいます」
清掃員たちは顔を見合わせた。
迷子か何かだろうと思った。
しかし放送は続く。
「そのお客様は鏡を見ないでください」
空気が凍った。
先輩が「なんだ今の」と笑った直後、
近くの化粧品売り場で、
「ガシャーン!」
と大きな音がした。
全員で駆けつける。
鏡が全部割れていた。
しかも床に落ちた破片の向きが妙だった。
全部、同じ方向を向いている。
通路の奥。
暗いフードコート側へ。
その時、館内放送がもう一度流れた。
「見つけた」
同時に、フードコートの暗闇で、
誰かがこちらへ走ってくる音がした。


