短編怖い話「見えてはいけないもの」

大学生のダイキは、退屈しのぎに地図アプリの「ストリートビュー」で、自分の地元を眺めていた。

画面をタップしながら、懐かしい通学路を進んでいく。

ふと、昔からある不気味な空き家の前で、画面がカクついた。

その空き家の2階の窓に、人影のようなものが映り込んでいる。

ストリートビューでは、通行人の顔には自動でモザイクがかかるはずだが、その人影の顔にはモザイクがかかっていない。

「お、心霊写真か?」

ダイキは面白がって、画面をピンチアウトして拡大した。

画質が荒くなり、徐々にその顔がはっきりしてくる。

……それは、信じられないことに、ダイキ自身の顔だった。

「は? なんで俺がこんなところに……?」

撮影時期を確認すると「5年前」とある。

当時、その空き家に入った記憶なんて一切ない。服装も、自分が今まさに着ているスウェットと全く同じだ。

混乱しながら画面をもう一度タップし、視点を一歩「前」に進めてみた。

すると、窓の中にいた「ダイキ」が、窓ガラスにペタリと顔を押し付け、カメラに向かって何かを叫んでいるような表情に変わった。

嫌な汗が吹き出す。

ダイキは吸い込まれるように、もう一歩、画面を進めた。

今度は、窓の中の自分が、必死に指を差している。

カメラの方向ではない。画面のこちら側、つまり**「今のダイキ」の背後**を、血相を変えて指差しているのだ。

スマホの画面越しに、5年前の自分が、現在の自分に向かって叫んでいる。

その口の形をよく見ると、こう動いていた。

『 う し ろ に い る 』

ハッと息を呑んだ瞬間、スマホの画面が突然真っ暗になり、暗転した液晶に、ダイキの顔と、その肩に後ろから両手を回している「何か」の姿がクッキリと映り込んだ。

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